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蜘蛛の巣
第10章 旅先にて。
相も変わらず一般ピープルなのは自分だけか
「夜ご飯までまだ間があるし、ちょっと町出てみようよ!」
綾斗が華の腕を掴み、ぐいぐいと引っ張った
「え、でもほら、ご飯の前に温泉とか……」
「今日一日車に乗ってただけじゃん! ちょっと探検した方が温泉も気持ちいしご飯もおいしくなるよ!」
茅斗ももう一方の腕を取る
華は半分引き摺られるようになりながらも、勝手な行動をして良いのかとか困った顔で年上二人を振り返った
が、どちらも自分の世界に没頭していて全く聞いている気配がない
華は仕方なく溜め息をついて双子と共に外へと出て行った
"もうっ、結局保護者なんて私一人みたいなもんじゃん!"
第一この二人がこんなに幼いからいけない
何故に男子高校生二人に手を引かれて着いた早々物見遊山に付き合わされねばならんのか
エレベーターの数字が小さくなっていくのを睨みながら華は心の中で文句を言っていた
「じゃ、まずは滝ね!」
「あ、うん」
フロント階に着くなり綾斗が振り向いて華を見る
無邪気な顔
"お坊っちゃん育ちのせい?"
そんな顔されたら断れないよーーー