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蜘蛛の巣
第10章 旅先にて。
草木に囲まれ曲がりくねった石畳を進んでゆく
滝はその姿を現す前から流れ落ちる大きな音を辺りに響かせていた
「わ…ぁ……」
周囲が拓けると同時に、荘厳たる大滝が目に飛び込んでくる
例の滝裏の洞に向かいながら、華は上を見上げて茅斗の言葉の意味をようやく理解した
下まで行かずとも、滝の雫が十分に降り注いで彼女をしっとりと濡らす
「ぎゃっ!」
−−−当たり前だが濡れているのは彼女だけではなく、華は湿った小石に足を滑らせてみっともない声を上げてしまった
だが尻餅をつくまでには至らず。
「もうっ、ハナったら相変わらずドジだなぁ」
「ちゃんと足元見てなきゃダメじゃん!」
両腕を、双子にしっかり支えられていた
「ご、ごめん。ありがと」
華は急いで立ち上がると、少し顔を赤らめる
それはもちろんドジ扱いたこともあるのだが−−−
“なんか…逞しかった、な……”
二人の腕の強さに、男らしさを感じてしまったから−−−