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蜘蛛の巣
第10章 旅先にて。



「じゃあ次ボクね! アーヤ交代ね! メーちゃんとやるから!」



茅斗はずっと黙って見ていた要を対戦者に指名する

綾斗は少し不満そうな顔をしつつ渋々ラケットを弟に渡した

その様子を見てか、ここで初めて要が口を開く



「いや、俺はやらない。二人でやれ」

「えー! やろうよ! メーちゃんとやってみたいの!」



茅斗の頼みに要は少し困った顔をした



「お願い!」

「……ハァ」



最後の一押しをされ、要は仕方なくラケットを握る

ルールは面倒なので基本無視

ワンバウンドなどはもちろん遵守するが、とにかく打ち返せればそれで良い

それが彼らのルールだった



先攻は白河茅斗

初球だからか、少し緩めにサーブする

それを打ち返す要の球も易しい



カコッ

カコッ…



「……」



見ている三人の首が左右に振れる

先ほどの二人に比べて、このラリーはかなり穏やかに思えた



「……」



カコッ…



「……っ」



カコッ!



「……」



カコッ…



「……ねぇ」



カコッ!



「……」



カコッ…


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