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蜘蛛の巣
第10章 旅先にて。



「ねぇ、ちょっと!」



突然、茅斗が打ち返すのをやめて怒鳴った



「さっきから返ってくる球弱すぎるんだけど! メーちゃん手加減してるでしょ!」

「…俺は別に……」

「絶対してるよ! だってメーちゃんもっと出来るはずだもん!

メーちゃん、ボクもっと本気でやりたいよ」

「……」



要の目が下を向いた

どうすれば良いか分からず、迷っているように見える



「……?」



華はそれを見て少し首を傾げた

相手が年下とはいえ、本気でと頼んでいるのだから何をそんなに悩む必要があるのだろう



「いいんじゃない」



不思議がる彼女の横で和樹が要に言った



「本気でいいって言ってるんだし。“白河様”の頼みなんだから」

「……分かった」



要は和樹の言葉に頷くと、再びラケットを構えた

態勢が、さっきまでとはまるで違う

そしてまた激しいラリーが始まった



"やっぱり上手いんだ……"



どうやら"皆おんなじ"はかなりハイレベルでの"おんなじ"らしい



要が何故それを最初から出さなかったか疑問に思いつつ、華は彼らのことを尊敬を含んだ眼差しで見つめていたーーー



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