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蜘蛛の巣
第10章 旅先にて。
「和樹さん! どうしてここに!?」
本当に、神出鬼没な男だ
そして決まって華が一人の時に現れる
−−−顔に悪戯な笑みを浮かべながら。
「アッハハ、華ちゃんびっくりし過ぎ。
で、何が欲しいの?」
「あ、あの……大丈夫です。部屋に戻れば水ありますし……」
「さっき笑っちゃったお詫びに奢ってあげるから。選んで」
「でも……」
そう言われると何となく断りずらい
華はおずおずと並んだ飲み物の一つを指差した
「いちご牛乳? 可愛いね」
和樹は笑いながらお金を入れ、華の差したボタンを押す
ガコン、という音と共にいちご牛乳が落とされ、華はそれを取ろうと身を屈めた
「……!?」
が、伸ばされた彼女の手は何故か一瞬で彼女の顔の横にきていた
「あの、和樹さん……?」
「いちご牛乳とかその浴衣とか、華ちゃんにはピンクが似合うね」
和樹の華を掴む手に力が籠もり、壁に押し付けられる
もう一方の腕も捕らえられ、両手とも頭上で纏められてしまった
「や、やだ……ひゃっ!」
和樹の唇が首筋に触れて華は思わず声を上げる
「だからほら…肌ももっとピンク色にしてあげるよ……」