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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー



“まだ六時前だし、急いで行って帰ってくれば……”



夕飯には間に合うか、と計算し終えたところで壮真がさらに続けた



「そうそう、さっき橘さんが華ちゃんのこと呼んでたよ。部屋の前で待ってるって」

「……?」



あの人が“待つ”だなんて珍しい

一体何の話だろうか

ともかくも、これで今日中にプレゼントを買いに行くという華の計画は早速破綻したのだった







「ああ、やっといらっしゃいましたか!」



壮真の言った通り、部屋の前では橘が華の帰りを待っていた

その腕には何やらピンク色の布が掛けられている



「ささ、早くお部屋に入って下さい! パーティーは明日なんですからね!」

「……???」



何をするのかも分からないまま、華は背中を押されて無理やり部屋に入れられる

戸惑う彼女をよそに橘は持っていたものをベッドの上に広げた



「……!

これ……」

「華様に似合う色を聞いて回りました。皆様口を揃えて“ピンクだ”と仰いましたので」



そこにあったのは薄桃色の可愛らしいパーティードレス

生地は一目で高いものだと分かる

余計な装飾は一切なく、それがより一層高級感を醸し出していた



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