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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー



「よくお似合いです」



鏡の前に連れて行かれ、橘が横から覗き込みながら褒める

滅多にないことに華は顔を赤らめて目の前の自分の姿に集中しようとした



ドレスというから、まさかハリウッドスターが着るような際どいのじゃないだろうな、と思っていたが、全くそんなことはない

短めの丈に合った少女らしいドレスだ

胸もさほど強調されていないし、背中も普通程度に隠れている



「やはり華様はお顔立ちやお姿が大変お綺麗ですね」

「え…やだもう……」



ますます頬を染めはにかみながら俯く華



「まあ、分家のご当主になられる方に嫁ぐにはまだまだ足りない部分が多くありますが」

「……」



ーーー上げて落とされた

何もわざわざ最後にそんなこと言わなくたって。



喜んだ自分も恥ずかしくて少しむくれていたところへ、二人の耳に部屋の戸がノックされる音が届いた



「はい、ただいま」



華に断りなく橘が先に行ってドアを開ける

そこには京堂家の跡取り、要が立っていた



「夕飯の用意が出来たから呼んでこいと言われたんだが……」

「そうでございましたか! それはお手間をおかけ致しました」


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