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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー
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翌五月二十四日、大学にて−−−
「真里枝! ちょっと急なお願いがあるんだけど!」
男女混じった大きめのグループで喋っていた真里枝を無理やり引っ張り出し目の前で手を合わせる
温泉に浸かりながら親友との関係を反省した華だったが、彼女はもう既に諦めて他の友達と過ごすことが多くなっていた
「な、なに? 突然」
華の必死そうな雰囲気に真里枝は驚きつつも話を聞こうと傍にあった椅子を勧める
「あのね、実は……」
そこに腰掛けて改めて真里枝と向かい合い、華は真剣な眼差しで話し始めた
「ええーっ!? 今日がユウくんの誕生日!?」
大きすぎる声に周囲から此方に一斉に視線が向けられる
「ちょ、声がおっきいよ!
……そうなの、それでプレゼントどうしようかと思って」
「別に、普通に帰りにどっか寄って適当に買えばいいじゃん」
「その“適当に”が分かんないんだよ。男の子って何欲しいの?」
「そんなこと私にも分からんよ……」
そう返されてあからさまにガッカリした表情を見せる華
女子校出身の彼女にとって男子はまだまだ未知の領域だった
もちろん真里枝も同じ境遇から始まったのだが、今では普通に男子と話している
−−−だから何か良いアドバイスをくれるのではと思ったのだが。