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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー



ふざけて肩を組もうとした真里枝の腕を華が思い切り振り払う

今の彼女にとって、そのテの冗談は冗談では済まされない

笑って受け流せるようなものではなかった



「な、なにシリアスになってんの……」



その辺りの事情を全く知らない真里枝は親友の態度に驚いてただ戸惑うだけ。



「ごめん……でもふざけてる場合じゃないし」

「あ……そっか」



一瞬時計に目をやった華を見て真里枝は何となく察する

一気にテンションが下がり、申し訳なさげに俯いた



「あのね、実は真里枝に見てほしいものがあるの」



えっ、と顔を上げる真里枝を前に華はごそごそと鞄を探る

取り出したのは丁寧にラッピングされた表が透明の小袋だった



「これ、どうしたの?」



中に入ったものを見て真里枝は怪訝そうな顔をする



「昨日徹夜で作ったの……どうかな?」

「どうかなって、これがあるなら何でわざわざここまで来たの」

「…気に入ってもらえる自信がなかったから……」



それは隅にピアノの刺繍が施された白いハンカチ

明らかに結利へのプレゼントだと分かるものだった



「だったらここに来る前に見せてよ!」



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