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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー
今度は真里枝が華に腹を立てる番だった
もっともなことに華は謝ることしか出来ない
「ホントごめん。だけど……」
ここまで見せなかったのは、本当は華も来たかったのだ
思った以上に時間が押していた為につい苛立ってしまったが、無理やりにでも真里枝との時間が作りたかった
最近あまりにも彼女が遠く感じて−−−。
でも今それを言い出すことは出来なかった
「ハァ…もういいよ。時間もないし、きっとそれで満足してくれるって」
何となく投げやり感のある言い方をされて華の眉尻がさらに下がる
「ごめんね……渡したら後でどんな反応だったか絶対教えるから!」
「わかったわかった。ほら、早く帰りな」
華は唇を噛み締めて頷くと、笑ってくれた真里枝に背を向けて歩き出した
段々に足の幅が大きくなる
早く帰ろうと小走りになる
以前のように−−−
そう、思っただけなのに。
角を曲がる直前、華は親友の方に少しだけ目をやった
真里枝は、もう此方を見てはいなかった−−−