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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー
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「あの……私変じゃないですか?」
華に落ち込む暇を与えることなく、パーティーの時間はやってきた
「ううん、可愛いよ。すごく良く似合ってる」
端正な顔に笑みを浮かべる壮真を見て華は顔を赤らめる
「ありがと…ございます……あ、えと、壮真さんもすごくカッコいい、です……」
普段からそう思ってはいても、黒のタキシードに身を包んだ彼はいつも以上に王子様的なオーラを放っていた
壮真を挟んで華の反対側には和樹が座っている
彼もこの場に相応しい装いを纏ってはいるが、口の端に浮かべた意地の悪い笑みだけはどうにも隠せないらしい
何も言わず、ただ華を面白がるようにずっと見ていた
“やっぱりこのドレスを勧めたのは何か裏があるんだ……!”
華は負けじと和樹を睨み付ける
彼女のその反応に和樹は一瞬驚いたように眉を吊り上げ−−−
プ、と小さく吹き出して目を逸らした
「ねぇ、僕はどう? 格好良い?」
向かいに座る煉が身を乗り出し、冗談めかして聞いてきた
「え、うーん…煉さんは……」
髪の毛をオールバックにしてにっこり笑う男
大人の魅力と言えないこともないが、どちらかといえばやはりーーー
「ホストっぽい、です……」
「……華ちゃんの目に僕はどんな人間に見えてるの」
煉ががっくりと大袈裟に項垂れたその時ーーー