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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー
結利が席についたところでディナーが始まった
運ばれて来た前菜の美しい盛り付けに華は溜め息をつく
「何、そんなに感動したの?」
それを目敏く見つけた和樹に笑われ、華は少しむっとしつつ首を振った
「そうじゃなくて、その……」
華だって中の上、あるいはもしかしたら上の下程度の暮らしをしてきてこういった高級レストランで食事をしたことがないわけではない
それこそ誕生日やクリスマスには普通に訪れていたし、マナーだってちゃんと教わってきた
だがそれでもーーー
もし何かマナー違反や非常識なことをしてしまったらどうしようかと、華は内心ビクビクしながらそっと周りを確認しつつ料理を口に運ぶのだったーーー
「皆様、デザートのケーキをお持ち致しますが、お飲み物は何になさいますか?」
「オレはー……カプチーノかな」
ウェイターの質問に結利から順に答えてゆく
煉は結利と同じくカプチーノ、壮真、和樹、要はコーヒー、双子と華は紅茶を頼んだ