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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー
「煉さんてコーヒーじゃなくてカプチーノなんですね。意外」
「いやー、あの苦味がどうしても好きになれなくてね。本当は日本茶頼みたいんだけど」
"……渋い"
最年長とはいえ、まだ二十代とは思えない
「コーヒーは駄目なくせに日本茶の苦味は平気なんだ。変なの」
「分かってないなぁ。日本茶はあの苦味渋味の中に甘味ってものが潜んでるんだよ。それを味わうことが出来ないなんて、和樹もまだまだ子供だねぇ」
煉は馬鹿にしたようにやれやれと首を振る
「ふぅん。ま、兄さんが大人だとは全く思えないけどね」
そんな会話しているうちに結利の前にバースデーケーキが運ばれて来た
「あ、良かった、普通のサイズだ。ウェディングケーキみたいなやつだったらどうしようかと思った……」
華の小さな呟きを隣に座る壮真だけが聞き付け、口元を押さえて必死に笑いを堪える
「……?」
「どうしたのソーマ」
震える壮真を見て綾斗と茅斗は不思議そうに首を傾げた
「いや、何でもないよ……クスッ」
原因となった華は耳を真っ赤にしてただ俯くしか出来なかったーーー