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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー
「どうする? 誰から渡す?」
壮真の言葉にみんな顔を見合わせる
華は正直なところ立派なプレゼントが出てくる前に自分の粗末なものを出しておきたかったが、一番に名乗り出ることも出来るはずはなかった
「年齢順で良いんじゃない? めんどくさいし」
そうなると真ん中という最高の位置を手にする和樹が意見を述べる
「えー……まぁいいや。
はい、ゆークン。僕イチオシの作品だよ」
煉から四角い形状のプレゼントを受け取り、結利は早速包み紙を開く
中身が見えた瞬間、結利ではない誰かが大きく息を呑んだ
「これは……」
「僕が書いた本だよ。シリーズものの第一作目」
「……」
別に本が嫌いなわけではない
見たところ普通のサスペンス小説のようだし。
ただーーー
「普通自分の書いたものとか渡すか?」
「えー、だって他の小説より面白いって自負してるんだもん」
「……あっそう。まぁありがと」
結利はとりあえずお礼を言って本をテーブルの脇に置いた
"どうしよう……"
華の中の不安と焦りが大きくなる
私も自分で作ったものだーーー