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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー
「あ……ごめん、要」
その様子に気が付いた結利が自ら要の傍に寄る
「あー…俺は……」
あからさまに包みを後ろに隠す要
結利はそれを見て怪訝そうな顔をした
「もうっ、何恥ずかしがってるの!」
「メーちゃんらしくないよ!」
そのまま固まってしまった二人を見かねて茅斗がプレゼントを要の手から取り上げた
「あ、おい!」
要の顔に本当にらしくない焦りが浮かぶ
だが止める間もなくプレゼントは結利の手に渡ってしまった
「えっと……開けていいかな?」
「……ああ」
要は観念したように顔を背ける
包みを開いた時、全員が彼の態度に納得した
「あれー! 僕の小説!」
そこにあったのは煉が渡したものと全く同じ本
作者が満面の笑みを浮かべて要を小突く
「さっすが要クン、見る目あるね~」
「お前のだって知らなかったんだ……!」
知っていたら絶対に読まなかったという要の言葉は煉には照れ隠しにしか聞こえない
「ま、読書用と観賞用として使えばいいよ! あ、ついでにサインもしてあげようか」
「いやそれはいらない……けど、要が勧めるんなら本当に良い小説なんだろうな」
「だからさっきからそう言ってるじゃない……」
煉のぼやきを無視して結利は要に貰った方を壮真のプレゼントの横に丁寧に置いた