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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー
「次は僕だよね。じゃあはい、これ」
和樹が差し出したのは、小さなペラペラの紙切れ一枚
だがそれを見る結利の目は十分な驚きに満ちていた
"ピアノのコンサートチケットか何かかな?"
そう華は予想する
「あー……ありがとう。でも本当に良いの?」
結利は苦笑いしながら和樹に確認を求めた
和樹は小さく肩を竦めて返す
「まぁ二枚あるし……本当は嫌だけど」
「え、じゃあいいよ」
「いやいいから!」
素直になれない和樹とそれを汲み取れない結利のすれ違いに周囲の人間は思わず笑った
「あの、何をあげたんですか?」
華はどうしても気になって横からその紙を覗き込む
「え、これ!?」
和樹のプレゼント
それはーーー
"スイーツどれでも一品無料!"券であった
「えーっと、これは……」
誕生日プレゼントとして貰って嬉しいのだろうかとチラッと結利の方を見る
戸惑ったような華を見て壮真がそっと耳打ちした