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蜘蛛の巣
第13章 鎖された場処

華は一度だけ同じような空気を纏う要を見たことがある
そう、あの動物園でーーー。
だがあれは動物相手であり、人間にもあんなに心許した顔をするとは思ってもみなかった
「あ、壮真さん」
何故か在校生ではないはずの壮真の姿がカメラに捉えられている
複数の女子に囲まれながら、少し困ったように笑っている壮真
『お願いします先輩!』
『こんなこと先輩にしか頼めません!』
『そう言われても、俺はもうここの生徒じゃないし……』
三人の応援に来たのだろうが、その頭にはハチマキが巻かれグラウンドの方に背中を押されていた
『私さっき足捻っちゃって!』
『いや見たとこ大丈夫……』
『部対抗リレーの人数が足りないんです!』
一瞬壮真の顔を吹雪が通り過ぎる
“補欠は? こういう時の為に用意しておく規則だよね?”
とでも言いたげな凍りの微笑だ
しかしさすがは壮真、場の雰囲気を壊さぬようすぐにそれを収め周囲を魅了するプリンス・スマイルを浮かべた
『ここでお知らせです! 次の部対抗リレーに出場するバスケ部ですが、一人欠員が出た為、異例ではありますが卒業生が助っ人に入ります!』
会場内にアナウンスが流れる

