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蜘蛛の巣
第14章 想いの渡し方
“…雑……”
そこにいる誰もが同じことを思っただろう
華の手には何ら特別な飾り付けもない小さな物体が置かれていた
「恋愛…成就……」
桃色の御守りを転がして書かれた文字を読み上げる
「ど、どういう意味ですか!」
華は衝撃の余り思わずお礼を言うのも忘れて大声を出してしまった
他の面子の反応も様々
煉は変わらず楽しげな笑みを浮かべたままで、壮真は彼の子供じみた意図を察して呆れながら笑っている
だが年長者二人に対して下三人はそれほど余裕ではいられないらしい
一気に体を強張らせて華の様子を窺っていた
“もし華が一瞬でも喜ぶ素振りを見せたなら……”
そして要は、一切の興味がないかのように無表情だった
「別にそのままの意味だよ?」
「……からかってるんですか?」
「……?」
和樹はきょとんとした表情をする
−−−わざと、だったが。
「僕はただ、もし華ちゃんにそういう相手がいるならって……女の子ってこういうの好きかなと思っただけなんだけど」
「あ…ごめんなさい……」
少し考え過ぎたか
いつもの和樹の言動から深読みして失礼なことを言ってしまった