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蜘蛛の巣
第15章 分かたれて。
「相変わらず虫が苦手なんだね、ソーマ」
「えっ?」
自分のことで精一杯だった華はここで初めてちゃんと壮真を見て、今だに硬直したままの彼に目を見開く
壮真は恥ずかしそうに片手で顔を覆った
「昔家の木の下で本を読んでたら…遊びに来ていた親戚の子が登って行って枝を揺らしたから……」
そこまで聞いてどうなったのか容易に想像がつく
華は頭の中の映像に体をぶるりと震わせた
「ね? だからソーマにしがみついても無駄なんだよ」
茅斗は壮真の腕に巻き付いた華の手を取る
「それに」
そして自分の方へ引き寄せた
「きゃ……」
「明日はボクとデートなんだってこと、忘れてないよね?」
強く引っ張られた為に体勢が崩れ、茅斗を見上げる形になる
見下ろしてくる彼に華はあの日、談話室で綾斗と共に自分を責めた男を思い出した
「も、もちろん」
華は慌ててそう言うと体勢を戻し、にこりと笑う
「良かった」
彼女の笑顔に茅斗は無邪気に返した後、はっとした表情で急に焦り出した
「ボクこんなゆっくりしてる場合じゃなかった! ハナ、今日ボクとアーヤの分の朝ごはんいらないから!」