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蜘蛛の巣
第15章 分かたれて。
「え!?」
「朝練あるの忘れてたの! アーヤったらボクのこと置いて先出ちゃってたんだよ!?」
そういうことだから、と茅斗は慌ただしく厨房を出ていった
「……じゃ、じゃあ、またいつアレが出てくるかも分からないし、俺は橘さんの所に行ってくるよ。華ちゃんは食堂で待ってて」
「はい……あ!」
「ん? どうかした?」
「…いえ、何でも……」
華はある重要なことを思い出したのだが、彼には言いづらい
それでも他に頼るべき相手がいないことを知っていたので、華は改めて口を開いた
「実はその…昨日自転車がパンクしちゃって……」
「ああ、駅までの足がないんだね」
口ごもる華に対して壮真は何の問題もないという風だ
「いいよ、送ってあげる」
「いえでも…………すみません……」
「気にしないで。ああでも、バイクでもいいかな?」
「えっ」
それは流石に、と華の目が泳ぐ
"バイクの密着具合を考えると……"
「ごめんね、今日はバイクの方が都合がいいんだ。
あ! 良かったら俺の車貸そうか」
「バイクでいいです!」
あんな心臓に悪い運転は二度としたくない