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蜘蛛の巣
第1章 出逢い
「別に絶対ってわけでもなくて、同じ年頃の親戚がいればだから。まぁお父さんみたいに外から貰う方が珍しいんだけど……次男だったから誰も文句は言わなかったみたい」
それにしても、と華の顔が急に険しくなる
「なんで私の"同じ年頃の親戚"がみんな五大企業の跡取りなのー!」
大声で喚いた華の後ろから鋭い声が飛んできた
「華! これはありがたいことなんだから文句言わないの!」
「でもこの時代にそんな結婚なんて……」
ぶつぶつと呟きながら頬を膨らませる親友を真里枝は笑ってなだめる
「でも男子五人に女子一人でしょ? 選び放題じゃん! 絶対いい人いるって!」
「私が選べるわけないじゃん! これから男五人と同棲しなきゃいけないし……第一私まだ十八だよ!?」
十八歳になると女子は候補の男性と一つ屋根の下で一年間を過ごす
"お試し期間"なんて言われているが、男側が選ぶだけで女性に拒否権はないも同然だった
「おかしいおかしいおかしい! あと十年早いか遅く生まれたかったー!」
「そしたら私たち会えなかったじゃん……」
真里枝がわざとらしく悲しそうな目を向けてくる
「それはそれ! これはこれ!」
なんて言うが、ここまできてじたばたしたところでどうしようもない
来るものは来るーーー