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蜘蛛の巣
第15章 分かたれて。
“嫌われたかもしれない……”
でもどうしようもない
昔から家のことで色々言われてはいた
あの真里枝だって、しょっちゅう冗談混じりで弄ってきたし、華もそれを軽く受け流してきた
だがあの人達といるほどに、あの豪華で薄暗い一族に足を踏み入れるほどにそんなヌルい気持ちは薄れてゆく
彼らが哀しそうに微笑むのを、何度も見てきたから。
“…壮真さんに連絡を……”
大学を後にした華は駅に向かう道すがらスマホを取り出そうと鞄を探った
夏至の明るい太陽が下を向く彼女の顔に濃い影を作る
「ハァ…」
華は何となくため息をつきながら壮真の番号を出した
ヴーヴー
「……!」
マナーモードにしたスマホに向こうから着信が入る
華はすぐに操作してそれを耳に当てた
「もしもし?」
「ああ、華ちゃん? 今大丈夫?」
「はい、ちょうど終わって学校出たところです」
答えながら華は顔をしかめた
壮真の声の調子が、いつもと何となく違う−−−
「申し訳ないんだけど、駅で一時間くらい待っててもらえるかな」
「何かあったんですか……?」
大したことでないのを祈りつつ、小さな声で尋ねる