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蜘蛛の巣
第15章 分かたれて。
「うん、カーヤが部活中に怪我しちゃってね。今から主治医のところに連れていくから」
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日の暮れかけた頃、駅で待つ華の前に一台の車が停まった
「カーヤ! 大丈夫!?」
ドアを開けるなり後部座席を覗いて心配そうな声を上げる華
「アハ……ドジこいちゃった。なんか今日はアーヤと上手く連携とれなくて……ぶつかりそうになって避けたらグキッて!」
「そ、そう……」
いつもとそう変わらない様子に安心して助手席に乗り込む
「軽い調子で言ってるけど、結構ひどいんだからね? 分かってる? 一ヶ月は静かに過ごしてなきゃ駄目だって言われたでしょう」
「わかってるって! もう、先生にイヤってほど聞かされたよ!」
茅斗はうんざりしたように天井を見上げた
そして突然何かを思い出したように華の方に身を乗り出す
「でも明日のデートは行ってもいいよね?」
「ダメ!」
「ぜんっぜん分かってない!」
二人から同時に却下されて茅斗は拗ねたように座席の背にもたれて外を眺め始めた
「せっかくハナにプレゼントしたのに……」