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蜘蛛の巣
第15章 分かたれて。
彼の小さな呟きは、華には届かなかったーーー
「……ヤ…カーヤ……」
「…ん……」
「カーヤ、着いたよ」
壮真の呼び掛けに茅斗はぼんやりとした瞳を前に向けた
「どうしたの? 大丈夫?」
華の不安そうな顔が見える
「なんで? 何ともないよ」
そう言ってにへらと笑う、本人はそうなのかもしれない
だが華と壮真の目から見ればそれは相当無理をしているように映った
「ぼうっとしてるね。もう熱が出てきたかな……」
壮真は医者から今晩あたり怪我による発熱があるかもしれないと言われていた
「カーヤ、部屋に連れていくから今日はもう寝て……」
「やだ。お腹すいた」
「……」
こんな時でも衰えない食欲に二人は半ば呆れ、半ば感心する
「でも今のカーヤの調子見るとそんなに食べられないと……」
「食べれる。夕食抜きとか言ったら暴れてやる」
「分かった分かった! しょうがないな……じゃあ食事も部屋に運ぶから。とりあえずほら、俺に掴まって」
壮真は茅斗を支え、車から降ろした