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蜘蛛の巣
第15章 分かたれて。

「物心ついた頃から、アーヤとボクは比べられてた。それも隠れてじゃない。常に見えるところで誰かがボクたちの話をしてた。ボクとアーヤ、どっちが当主として相応しいのかを。
順番でいったら絶対アーヤなんだ。だけど白河家の中でも立場の弱い人たちがボクを担ぎ上げた。
ボクたちは双子なのに、競わなくちゃならなかった。でも二人ともお互いのことをよく分かってたから、憎み合うなんてことはなかったよ」
互いの目の前で互いの片割れが傷つけられる
その度に身を寄せ合ってーーー
'ねぇアーヤ…ボクたちどうして二人なのかな……こんなに近くて、自分の一部みたいに感じるのに、どうして一人じゃないんだろ……一人なら、誰も困らないのに'
「それにボクは、アーヤが当主になるべきだって思うから。だってアーヤの方が明るくて元気で、いっつも皆の中心にいるんだ。
でもアーヤと離れるのは嫌だった。だからここに来たの」
'そうだねカーヤ…でも……'
「誰にも言ったことなかったけど……ボクはただアーヤと一緒にいたくて、周りの顔色を窺って、わざと担ぎ上げられたままで、明るく元気に、"アーヤと同じ"ってところを見せてきた。
上手くいかないこともあったけどね」

