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蜘蛛の巣
第15章 分かたれて。



「ハナを手に入れられるなら、ボクは平気でアーヤを突き放すよ」

「カーヤ…っ……お願いやめて……!」



華は頬に触れる手の感触に身体をびくりと震わせる

その指先は彼女の髪を、耳を愛でるように撫で、首筋に沿って落とされていく



「…や…だ……っ」



ピタッ



涙声になり身を捩る華に茅斗の動きが止まった



「……そんなに、嫌?」

「…っ……カーヤ、私はカーヤのことが好きだけど、だからこそこんなことして欲しくないよ……昔のままで……」



茅斗の悲しげな声に少しの心の痛みを覚えながらも、華は懇願するようにそう言った



「…分かって、ないな……」



だがその願いとは裏腹に、理解されない哀しみと怒りが彼を思い知らせてやりたいという欲望へと駆り立てる



「もう昔のままではいられないんだよ。ハナがどんなにそう望んで、たとえボクがハナを好きにならなくても、ここに来た時点でボクたちの気持ちは無視されてる。

メーちゃんの話の時なんとなく分かったでしょ? ボクらに自由なんかなくて、それでも好きな人を自分のものにしたいっていう、これはボクたちのささやかな反抗だよ」



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