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蜘蛛の巣
第1章 出逢い

双子はやけにしつこく聞いてくる
「なんかひどいことされなかった? 大丈夫?」
「ひどいことって…多少怖かったくらいで……」
"むしろ先に失礼なことしたの私だし"
ここで、しばらく黙っていた壮真が口を開いた
「カーヤ、その言い方はないんじゃないかな。別に君がひどいことされたわけじゃないだろう?」
「そうだけど……」
静かに諭されて茅斗の顔が俯く
「ボク、殴られたことある」
綾斗が衝撃の告白をした
「レンおじさんもあるって言ってたよ。ソーマだってあるんじゃないの?」
「……そうしょっちゅうじゃないよ」
壮真ははっきりとは否定せずに言った
「あの人は俺たちとは立場が全く違う……重圧も俺たちの比じゃないんだよ」
「だからって人を殴っていい理由にはならないよ!」
そう叫んで立ち上がった綾斗を壮真はじっと見つめる
「……アーヤ、この話はおしまいにしよう」
「ボクまだ……」
「終わりだ!」
綾斗がびくりとたじろぐ
おそらく普段聞いたこともない声なのだろう
先ほどとは違い、本気で怒っているように見えた
だがその表情もすぐにもとの優しい顔に戻る
「華ちゃんに来たそうそう嫌な思いさせちゃだめだよ」
綾斗は頷いてすとんと腰を下ろした

