この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜘蛛の巣
第1章 出逢い

壮真がコーヒーを飲みながら
「ずっと弾いてたけど、聞こえなかった?」
と言ったその言葉に華は初めてピンとくる
「トルコ行進曲とかですか!?」
「え、ああ、うん。それも弾いたけど?」
「…BGMじゃなかったんだ……」
華の呟きに壮真はプッと吹き出した
「す、すみません……」
華は思わず謝る
「いや、ごめん。華ちゃんが謝ることじゃないよ。それだけ上手かったってことなんだから。
最高の誉め言葉だよ。ね、結利」
結利は頷いて華を見た
「ありがとう」
華は目をぱちくりさせた
この年の男子にここまでさらりとお礼を言われるとは。
なんだかこっちが恥ずかしくなってしまう
「良かったら弾いてもらったら? 夕飯までまだ間があるし、どうせまだ練習するんでしょ?」
「ん」
「えっ、いいんですか!?」
まるで世界的ピアニストの演奏を聴けるかのように目を輝かせた華に結利は笑って頷いた
「オレなんかで良かったら」
「はい、ぜひ!」
「よひ! ひゃあひゃっふぉくいふぉー!」
「ふぉー!」
サンドイッチを頬張っているので何を言っているのかさっぱりわからない
ただ行く気満々なことだけは十二分に伝わり、そんな双子を壮真はがっちり掴んで引き止めた

