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蜘蛛の巣
第17章 変化
「……」
「要、さんも……」
濃紺の浴衣を身に付けた彼は、その冷たい面立ち故にきっと誰よりも似合っている
同時に近寄りがたい雰囲気も増している気がするが−−−
「余計な気を使うな」
「え、別に気を使ってなんか……」
「面倒臭い」
「要っ!」
華に対するその態度に結利が怒って後ろを振り向いた
だが要は特に表情を変えることもなくただ黙っている
「まままま、君たちこれから遊びに行くのにケンカなんてしないで」
険悪な雰囲気になりそうなところをすぐに煉が止めに入る
「それより華チャン、僕の浴衣姿が見られなくて残念じゃない?」
「いえ、煉さんのは見慣れてるんで。むしろ今の方が新鮮です」
「…あ、そう……」
和服でもスーツでもなく、ただ七分丈の黒いズボンに白シャツを着ただけの彼は、いつもの胡散臭さが少しだけ緩和されている気がした
「その格好の方が若く見えるし」
「一応ちゃんと余所行きのがあるんだけどなぁ……って、ん!?」
「あ、けど壮真さんの浴衣姿は見てみたかったな」
自分の発言が煉の心を少しずつ抉っているのにも気付かず華は話し続ける