この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜘蛛の巣
第18章 無意味な邂逅
それでもめげることなく綾斗がそう言い残して去って行くと、要は小さくため息を吐いた
そしてひしめき合う車とまばらな人の間をすり抜け歩いてゆく
「……おい」
四角い軽自動車の陰で、要は目的の相手に声を掛けた
「えっ……」
相手はそんなこと全く予期していなかったらしい
驚き、困ったような眸で要を見つめ返す
「何ですか……?」
「それを言いたいのはこっちだ。ずっと俺たちの……アイツの後を付けているだろう」
正直、自分や他の跡取りを追い掛ける女はどこにでもいる
だがこいつは–––
「アイツって……?」
しらばっくれる女に要はまた一つため息を溢す
「白河華。俺たちと一緒にいる女だ」
最初に視線を感じたのは駐車場に着いた時だった
その時は誰が目的なのか分からなかったが、他の“アツイ”視線とは明らかに違う眸で見ていたのが気になった