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蜘蛛の巣
第19章 傀儡子
「大丈夫、和樹もかーなーりカワイイよ。
そういえばさっき射的を見つけてね、
“お兄ちゃんカッコいい! 僕もお兄ちゃんみたいになりたい!”
って言ってくれたのを思い出したよ」
「……っ…ハハ、よくそんなこと覚えてるね。
しかも子供の頃の発言を未だに信じてるなんて、兄さんはやっぱり馬鹿だ」
いつもと変わらぬ憎まれ口を叩いたと思うと、和樹はサッとその場を離れてしまった
「華チャン華チャン」
「なんですか?」
「今の見た?」
「ぇ…はい、まぁ」
和樹が相手の反応も見ずに言いっ放しで去ってしまうのは珍しい
少し気になりつつも、そこにどんな意味があるのか分からず華は首を傾げていた
「あまりにも和樹がしつこいようなら、今みたいにすれば簡単に引き下がるよ」
兄とは思えない嫌な言い回しだが、表情からは特に彼を虐げるような気持ちは窺えない
「それは例えば……?」