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蜘蛛の巣
第19章 傀儡子
「彼の予想もしてなかったことを言うんだ。
華チャンの場合なら、そうだな……」
煉の言葉は、花火に掻き消され華以外の耳には届かなかった–––
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「お帰りなさいませ」
「ああ」
「怜夏様のご様子は、いかがでしたか」
「別にいつも通りだ」
執事の問いに答えながら遥はリムジンのいつもの場所に腰掛けた
怜夏は迎えに来た彼女の家のリムジンに乗せた
「ではかなりご満足されたのですね」
「別れるまでだ」
–––本人は渋ったが。
「…フ-……」
遥が長い息を吐くと、
「お疲れ様です」
と呉羽が水筒を差し出した
「さすが……よく分かってるな」
遥にしては珍しく口の端を吊り上げると、そのまま中へ一気に流し込む
「……ハァッ」
浴衣の帯が苦しい
頭も、同じくらい締め付けられている感覚がする