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蜘蛛の巣
第20章 嫉妬の行先
煉は驚いた表情を見せたが、彼女の運動神経を知っている和樹や双子は納得したように頷いた
「じゃ、その前にプールで練習しよ!」
納得はしたが、引き下がるわけではないらしい
茅斗の提案に綾斗も乗り気になる
「ね、いいよね! ハナ!」
「あーもう、どうせ何言ってもむだでしょ。いいよそれで」
「ハハ、双子の扱いにも随分慣れてきたね、華チャン」
元はといえば自分のせいなのに、煉は部外者同然に笑っている
「じゃあ善は急げって言うし、来週の土曜日なんてどう!?」
「…え……」
急すぎる日程に声を漏らしたのは華ではなく、茅斗だった
「まぁ、その日なら。それより後だとテスト勉強で忙しくなっちゃうし」
「そう、なんだ……」
落ち込み気味の茅斗に結利が眉を顰める
「どうした?」
「ボク、その日は病院行かなきゃだから……」
肩を落とす彼の目は、しかしはっきりと兄の姿を捉えていた