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蜘蛛の巣
第20章 嫉妬の行先



その眸の中に、おそらく誰も気付かないほどの怒りを湛えて–––







「ユーちゃんは? ユーちゃんも行く?」

「あー…そうだな。久しぶりに泳ぐか」



結利の答えに華はほっと息を吐く



正直、綾斗と二人きりになるのは不安だったから–––。





「あ、でも私……水着がない」



中高の頃に水泳の授業がなかった華がそのことを思い出して発したその呟きが、今度は煉によって拾われた



「なら一緒に買いに行く? 良かったらプレゼントしようか?」

「えっ、いえそんな! 悪いですよ!」

「女の子の水着買うとかレンおじさんってほんと変態だね」



綾斗の冷たい言葉はスルーし、煉は華にだけ話しかけている



「火曜の午後って大学ないでしょ? 僕もちょうど院で外に出てるからどこかで待ち合わせて……」

「お前、全然人の話聞かねーのな……」



今更ながらの結利のツッコミも何の意味もないようで。


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