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蜘蛛の巣
第20章 嫉妬の行先
少し遅れて出てきた綾斗も大きな声を上げる
「すっごくよく似合ってる!」
弟のいない状況が珍しいせいか、今日の彼はどことなく雰囲気が違って見えた
「かぁわい!」
雰囲気といえば、はしゃぐ綾斗と照れる結利もだいぶ違う
見た目も、痩せて色白の結利と浅黒く筋肉質な綾斗では全く違う魅力があった
“見られてる……”
もう慣れっこだが、周囲の女子たちの視線を華は痛いほど感じていた
「え、と……とりあえず練習するか。
華はどのくらい泳げるんだ?」
「分かんない……小学校出てから1回も泳いでないから。
でも二十五メートルギリギリってとこかな」
「なら、そこの足着くとこ行ってやろうぜ」
この時、華はまだ気づいていなかった
周囲の女子たちの視線–––に混じって、他の視線も自分に向けられていたことに。
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「……プハッ」