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蜘蛛の巣
第20章 嫉妬の行先
「うん、分かった」
華は頷くと、オレンジジュースを頼んで席に座った
「暑いねー!」
「そだね」
結利を待つ間、綾斗が手で顔を扇ぎながらぼやく
特に今まで水に入っていなかった彼の体はじんわりと汗をかいていた
“…っ……なんか…”
妖しい
同じ顔を待つ茅斗の、あんな姿を見てしまったからだろうか
華は妙に意識してまともに綾斗の顔を見られなかった
「私…トイレ行ってくるね」
「え、ああ、うん」
綾斗は特に気にする様子もなく、
「待ってるね!」
と元気に答えて座席に大きく身を投げ出した
“えっと、トイレどこだろ……”
人混みをかき分けながらキョロキョロと顔を動かしていると、不意に何かが臀部に触れたような気がした
“…何……?”
最初は偶然かと思ったそれも、一瞬足を止めるとまた同じ感覚がする
急いでその場を後にしようとするがそれは離れる気配もなく華についてきているようだった