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蜘蛛の巣
第20章 嫉妬の行先



「ちょっと……!」



振り向いても人が多過ぎて誰にやられているのか分からない

全員が怪しく思えてしまう



「…っ……」



華は怖くなって小走りに人気のないところへと移動した



“なんだったんだろう……”



人の手にしては、冷たすぎるあの感触

だが偶然なにかが当たってしまったにしては執拗だった気もする



「もう大丈夫…かな……」



立ち止まって少し落ち着くと、そこは探していたトイレの前だった

しかしここに来て自分が特にトイレに行きたかったわけではないことを思い出す



“ま、別にいっか”



「あの」



踏み出そうとした足を、華はピタリと止める



「え、私……?」



振り向くと眼鏡を掛けたサラリーマン風の男が立っていた



「そう、君」



その男はプールなのに何故か名刺を取り出すと、それを華に向かってズイと突き出した



“パライズ・エンターテイメント……?”


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