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蜘蛛の巣
第20章 嫉妬の行先
彼女が何か質問しようとする前に、男は口を開いた
「俺、この事務所の社長なんだけど」
あ、これヤバイやつだ
「あ、突然ごめんね。びっくりするよね」
さすがの華でも分かった
やたらに馴れ馴れしく話しかけてくる–––高校時代も一度あったのだ、こういうことが。
その時は真里枝が助けてくれた
「あの……私人を待たせているので、これで」
「ちょっと待ってよ! 話くらい聞いてくれても良いんじゃない?」
不幸なことにトイレを背にして袋小路に入ってしまった彼女の前に男は立ち塞がってくる
下心丸出しだ
「どいてください」
睨みつけても効き目など全くなかった
「これ」
差し出されたものを見て、華の全身に鳥肌が立つ
「いいお尻してるよね」
おそらく小型カメラで撮ったのだろう
彼の手にするスマホの画面には、華の臀部が至近距離で映されている