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蜘蛛の巣
第1章 出逢い



ピンポン



きっかり一時、玄関のインターホンが鳴らされた



「じゃあ、華」

「うん……」



真里枝は親友の緊張で汗ばんだ手を勇気づけるように両手で強く握った



「ありが……」

「大学で会ったら、最初の感想よろしく!」



にっと悪戯っぽく笑う真里枝に、もうっと溜め息をついて手を離す

他人事のように面白がる親友だが、彼女のおかげで少し気持ちが和らいだ



「ありがとう」



改めてお礼を言い、華は玄関に急ぐ

迎えに来た人物は既に母が応対していた



「お待たせしました……っ」



姿を現した華を見て相手は胸に手を添え深々と頭を下げる



"執事……!"



「華様をお迎えに参りました、呉羽と申します」

「し、しらかわはなデス……」



そんなこと相手はもう分かっているだろうに、華はリアル執事を前にしてしどろもどろになってしまっていた



「では娘をお願い致します」

「かしこまりました」



呉羽はまた一礼するとドアを開け



「どうぞ、華様」



と外に促す

華は慣れない様付けにまず靴を履くのに手間取っていた

それを察した執事は直立したままじっと華を待つが、そうされることで余計に焦ってしまう

履き終わった時には一時間以上待たせてしまったのではないかと思った


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