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蜘蛛の巣
第1章 出逢い

焦る二人が面白くて華は思わずクスリと笑う
取り乱したことにはたと気づいた二人は口を止めて顔を見合せ、ぷっと吹き出した
「じゃあ行こうか」
「うん」
結利の言葉に頷いて返し、華は茅斗に手を引かれながら食堂に向かった
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「もう驚かない……っていうか驚けないわ」
天井からぶら下がる豪奢なシャンデリアを見上げて華は呟いた
大きすぎるその部屋は華たち三人と二人の使用人だけでガランとしている
「アーヤは?」
「ソーマに出された問題が終わんなくて部屋でしごかれてるー」
「カーヤは終わったの?」
華の問い掛けに茅斗はフフン、とドヤ顔をしてみせる
「終わったのー!」
茅斗がはしゃいでいる間に使用人の一人が華と結利に食事を運んできた
"どうせこれもフレンチとかイタリアンとかそういう……"
「あれ?」
目の前に置かれた食事を見て華は逆に驚いた顔をする
「どうした?」
「いや、意外と普通だなと……」
焼き魚と白いご飯、味噌汁、そして漬け物
普通というか、むしろ教科書に出てきそうなほどで、普通すぎて家の食事には出てこないようなメニューだ

