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蜘蛛の巣
第20章 嫉妬の行先
「お兄ちゃん……?」
綾斗は男の顔を見上げ
「……クスッ」
相手以上に蔑む嗤いを響かせた
「ただのエロおやじでしょ」
そのまま彼の横を通り過ぎて守るように華の側に立つ
彼女の手に握り締められた名刺を見つけると、それを取り上げてまじまじと見つめた
「……どの系統の事務所?」
「答える義務はないよ。答えたって分からないと思うし。
でもウチはご贔屓にしてくれてる有名監督やプロデューサーがたくさんいるんだ。
だから、どう? 彼女。有名になりたくない?」
ガキとは世界が違うのだと言わんばかりに無視して再び華へと話しかけてくる
「答える義務はない……まぁ調べれば分かるか」
言いながらも、クシャクシャに丸めた名刺を床へと放り投げる
「明日には無職になるから、仕事探し頑張ってね」
「あ? なんだとこのガ……」
「ガキじゃない」
詰め寄ってきた男の胸板を指一本で抑え、睨みあげる