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蜘蛛の巣
第20章 嫉妬の行先
「……ハァ。
こっち来て」
「えっ」
「良いから早く」
周囲の興味が冷めて視線がなくなったのを見計らい、綾斗は“誰でもトイレ”のボタンを押して華を中へと突き入れた
「無防備にもほどがあるよ!」
「ごめんなさい……」
怒鳴りつけられ、華は地面に座り込んだまま下を向く
「……わざと、なの?」
そんな仕草でさえ可愛らしく思えてしまうのだから、自分はよっぽど重症だ
「わざとそうやって男を誘って、楽しんでるんだ」
「ちが……っ!」
“それはひどいよ、アーヤ……”
華の目に涙が溜まってゆく
綾斗だって、そうでないことくらい分かるのだ
それでも–––他の男たちが簡単に触れるこの女に、その怒りをぶつけることしか出来ない
優しくして奪われるくらいなら、泣き叫んででも連れて行く
「どうせ最初からこうするつもりだったしね……」
綾斗はボソリと呟いて自嘲的に嗤うと、華を押さえつけその首に思いっきり噛み付いた