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蜘蛛の巣
第21章 更なる深みへ



「っおい……」



華を止めようとしたのか呉羽に抗議しようとしたのか、声を上げかけたとき華が小さく息を吸った



「分かりました」



自分を落ち着かせるように前だけを見て、身体中に力を入れて立っている



「今すぐ、ですか?

髪も濡れてるんですけど……」

「構いません」



何事もなかったように呉羽の後について行こうとするのを、要は腕を掴んで引き止めた



「あいつの言うことなんて聞く必要ない。行くな」



彼女は触れられたことに少しびっくりして足を止めたものの、すぐに笑ってその手をそっと外していた



「なんでですか?」



その笑みは、魅力的でも何でもない

ただの“綺麗な笑顔”だ



「呼ばれてるだけですから、大丈夫ですよ」



続いて呉羽が、冷たく言い放って要を牽制する



「そのような我儘をまだ……このままでは京堂家の発展は見込めませんよ。

ご自分の可能性を自ら捨て去るおつもりですか」


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