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蜘蛛の巣
第22章 理由
車が動き出したわけでもないのに足がもつれてシートに倒れこむ
「……」
「ごめんなさい…」
慌てて態勢を立て直そうとしますます焦る華
「プッ…」
“……?”
小さく吹き出すような音に驚いて動きが止まる
きょとんとした顔で後ろを振り返ると、遥が顔を背けて肩を震わせていた
「遥…さん……?」
「……っ」
しかしすぐにハッとしたように、彼は笑うのをやめドサリと隣に座り込んだ
「あの……」
「いつまでそうしてるつもりだ?」
「あ……!」
呆気にとられるあまり横たわったままだということに気づいて急いで起き上がろうとする
グイッ
「それとも……」
「…っ……」
背もたれについた手を掴まれまたバランスを崩す
その隙に遥の顔がグッと近くに寄った
「……誘ってるのか?」
「そ、んな…わけ……」
否定しようとしても、射るような眸に声が出ない