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蜘蛛の巣
第22章 理由



「……冗談だ」



遥はそう呟くと掴んだ手を強く引き上げ華を正しく座らせた



「呉羽」

「かしこまりました」



いつのまに乗っていたのか、呉羽が運転手に指示を出し車が動き出す



“冗談……?

遥さんが、冗談……!?”



動揺を隠せない華だったが、困惑はその程度では済まなかった







“どうして私…こんなところにいるんだろ……”



てっきり真っ直ぐ邸に帰ると思っていた華は、目の前に並べられたコース料理を前に思考を停止させていた

テーブルの反対側には遥が何食わぬ顔で座っている



「……」

「なんだ。食べないのか?」



いつもの乱暴な彼はそこにはいない

名門早霧家の子息としての顔が、そこにはあった



「あの……」



今なら大丈夫だろうと、華はおずおずと口を開く



「どうして私をここに……?」

「……」



遥は少し口を開いてから、またゆっくりと閉じた


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