この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜘蛛の巣
第22章 理由
「……冗談だ」
遥はそう呟くと掴んだ手を強く引き上げ華を正しく座らせた
「呉羽」
「かしこまりました」
いつのまに乗っていたのか、呉羽が運転手に指示を出し車が動き出す
“冗談……?
遥さんが、冗談……!?”
動揺を隠せない華だったが、困惑はその程度では済まなかった
“どうして私…こんなところにいるんだろ……”
てっきり真っ直ぐ邸に帰ると思っていた華は、目の前に並べられたコース料理を前に思考を停止させていた
テーブルの反対側には遥が何食わぬ顔で座っている
「……」
「なんだ。食べないのか?」
いつもの乱暴な彼はそこにはいない
名門早霧家の子息としての顔が、そこにはあった
「あの……」
今なら大丈夫だろうと、華はおずおずと口を開く
「どうして私をここに……?」
「……」
遥は少し口を開いてから、またゆっくりと閉じた