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蜘蛛の巣
第22章 理由
「……夜になったら教えてやる」
「…っ……」
華の身体が無意識に強張る
それは緊張や、“夜”という意味深な言葉に対してではない
遥の顔が–––その笑いが、あまりにも無邪気だったから。
その無邪気さを、彼女は一度目にしていたから–––。
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「あれ、要…今帰り?
今日は夕方まで授業の日じゃなかったか?」
「ああ……サボった」
廊下で出くわした結利相手に、要は無愛想に答えその横を通り過ぎようとする
“サボり? 要が?”
意外過ぎて目を瞬かせる結利。
「でも外には出てたんだよな? 何しに……」
あまり無駄な外出を好まない要だからこそ、つい気になって詮索してしまう
だが次の瞬間には
「悪かった」
手を上げてそう謝っていた
要の手が彼のシャツを掴み首元を締めているために、その声は少し詰まる