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蜘蛛の巣
第22章 理由
「……チッ」
結利の謝罪を聞くと、要はゆっくりと手を離していった
「俺を詰問するくらいなら、大好きな兄貴に聞いたらどうだ?
何のためにあの女を側に置いたのか、とかな」
答えるわけないがな、と吐き捨てて相手に背を向ける
そのまま歩き去ってゆく要を見つめ結利はただ立ち尽くしていた
“要の舌打ち……初めて聞いた”
不機嫌に黙りこくった要はいつものことだが、手を出し皮肉を吐くところは見たことがない
最近ますます変だ
要が、そしてこの屋敷の空気そのものが–––
「あっ」
要の姿を見送り自分も部屋へと足を向けた直後、結利は鋭い声を上げて立ち止まった
“壮真に要も海に行くか聞いとけって言われてたんだ…忘れてた……”
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「……海に行くらしいな」
「…!」