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蜘蛛の巣
第22章 理由
長い沈黙の中から突然発せられた問いに華はパスタを巻く手を止めた
「私、ですか?」
「お前以外に誰がいるんだ」
呆れたように言いながら、そこに怒ったような色は見えない
「はい……夏休み入ったらすぐ。日帰りですけど」
「神崎が経営してる海の家か?」
「そう聞いてます」
「……誰が行く」
“……?”
どうして海に行くこともその場所さえも知っているのに、そんなことを聞いてくるのだろう
そもそもその情報を遥にもたらしたのは誰なのか
“壮真さん、なのかな……”
最近は遥に呼び出されているわけでもなく、食事の時くらいしか顔を合わせないが。
それでも彼と、そして結利だけは変わらず華と接してくれていた
煉も–––相変わらずその真意は読めないが今でも軽い調子で話しかけてくる
しかし双子とは気まずいまま、そして和樹にも祭りの日以来避けられているようだった