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蜘蛛の巣
第22章 理由
“何より要さんが……”
違うのだ
今までとは全く。
かつて無関心だったその視線が、忌み嫌うように睨みつけていたその眸が、今は違う
どこか焦ったような眸でずっと–––ずっと見てくる
それこそ煉が
‘なぁに要クン、華チャンの顔に何かついてるの?’
と笑うくらいに。
“どうして要さんは……”
「……い、おい! 聞いているのか!」
ハッと顔を上げると、今度こそ不機嫌そうに眉を寄せる遥の顔。
「あ…すみません……少し考え事を……」
「良い度胸だな?」
“しまった……”
最初に会った時と同じ
“冷静な”怒りを含んだ声が華の顔を蒼褪めさせる
いつか壮真に掴みかかった時よりも、今の彼の方がずっと怖い–––
「遥様」
絶妙なタイミングで、呉羽がやって来て声を掛けた
「……何だ」
感情を向けるタイミングを挫かれ遥は忌々しそうに執事を見る