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蜘蛛の巣
第22章 理由
「怜夏様が、予定よりも早く大学を出られたと。
ご夕食前に遥様とのデートをご希望だそうですよ」
「……」
全ての言葉を聞き終え、遥はゆっくりと席を立った
「あの……」
慌てて華も続こうとする
「華様は、タクシーを呼びましたのでこちらで少々お待ちください」
「でも……」
あまりにも勝手な扱いに抗議しようとして、遥に睨まれる
「……っ」
「怜夏様は遥様の許嫁です。
……ご存じないのですか?」
さも知っていることが、そして身を引くことが当たり前だと言うような口調に唇を噛む
「……分かりました」
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続く沈黙
来た頃と変わらないその空気は、遥といる時と変わらぬ心地悪さを華に与えていた
「その後どう? 不便とかない?」
反対側に座る壮真がいつもの笑みで問い掛ける